
Disk1
巨人(象徴的意味ではなく)デュメイの陶酔的な名演
エイヤッと☆5つをつけておこう。
なるほど他のレビューにもある通り、フランクのソナタでは構成感がやや甘いとは言えるかもしれないし、ピアノとの齟齬のようなものも言われてみれば散見できるような気もする。
しかし、それでもこのフランクは素晴らしい。とにかくヴァイオリンのデュメイは歌う。音楽と演奏者の間には、不思議にも夾雑物がない。こういう演奏は稀有のものである。それは官能的な歌であるとともに、繊細な感情を多彩に色付けする表現の豊かさとして現われている。循環様式と評されるフランクの構成感との齟齬があるとしても、音楽自体を理屈ぬきで愉しめる。その点でこれはベストの演奏と言ってもよいのではないか。
伴奏のピリスにも初めて感心した。ソロでは真面目なだけで、インスピレーションに乏しい職人という印象をピリスには持っていたが、ここでは一流の芸術を見せている。極めて精神的な演奏とも評せよう。フォルテの真実さは腹に来るほどだ。
デュメイはフランクでの美点をドビュッシーやラヴェルでも全開している。ドビュッシーも見事。また「ツィガーヌ」にも陶酔させられた。
最近出たドーラ・シュヴァルツベルクとアルゲリッチのライヴ盤でも、フランクとドビュッシーのソナタを取り上げていたが、フランクは同格、ドビュッシーはデュメイに軍配を挙げよう。この2つのフランスの傑作ソナタを愛する人には必聴のディスクとして推薦したい。
ドビュッシーを推す
期待したのは、言うまでもなくフランクだが、これはハズレ。確かに美演ではあるのだけれど、この曲の持つ精神性と官能性の二元性が充分に表出されていないで、表面的なところにとどまっている。また、自在の表現を見せてくれるのではあるけれども、かえって曲の構成感を損なっている。この曲で期待を裏切られたので、辛い評価にした。他方、ドビュッシーはベストの演奏の一つと言ってよい。それこそ皮膚感覚に直接訴えかけてくるヴァイオリンである。この曲が第一次世界大戦を背景に、徹底的に反ドイツ精神で書かれていることを考え合わせれば、その性格を最もよく示している演奏と言えるのではないか。ラヴェルの小曲もお勧めできる。それにしてもフランクが…。
デュメイのヴァイオリンが美しい
デュメイの出すヴァイオリンの音色が、とにかく美しい。ピリスとのピアノが合っていないところがあるが、全体的にはかなり良い。
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