
Disk1
円熟と覇気が同居している名演
<注:同じ録音の廉価版が出ているので、そちらの方がお買い得です!>
この曲が録音されているCDは、数十枚持っている。うち、10枚近くはアルゲリッチの新旧録音である(海賊版含む)。アバドBPOと組んだこの録音は、中でも最上の部類に入る。
アルゲリッチはこの曲を(デビュー当初以外は)大のお得意としており、数十年もの間、数百回の公開演奏を行っている。驚くべきところは、その間、彼女は、この自家薬籠中のレパートリーの全ての細部を千差万別のタッチで表現することを可能としてしまった事である。全てのフレーズに強弱や音色の変化があり、リズムは生き生きとし、テクニックやメカニックも一層磨かれ、全体の構造に対する見通しも良くなった。まさに奇蹟である。若い頃は激しい情熱、豪快なァ?タイル、シャープな音が売りだった彼女は、更に円熟性・オーケストラとの掛け合いバランス・譜面に対する深い洞察・無限のフレージングを加えて、この録音に達した。
BPOの技術、音色が素晴らしいのは当然だが、アバドのサポートも素晴らしい。アバドの演奏は出来不出来が激しいが、アルゲリッチとの友情関係(そして、彼女の演奏スタイルに関する理解)、また両者の闘病生活(両者とも癌と格闘中)が空前絶後の名演を生んだのである。交響曲第4番を思わせるオケの凄まじい咆哮、くるみ割り人形を思わせる第二楽章のピアノ… これを超える演奏は考えられない。デュトワ、コンドラシン、コルト等との録音も名演だが、それらはアバド盤に到達する過程に過ぎなかったと思う今日この頃である。
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