
Disk1
Disk2
Disk3
意表を突いたカップリングですが、いずれも名演でしょう。
ポリーニとアバド指揮ベルリンフィルによるベートーヴェンのピアノ協奏曲全集(92年〜93年、ベルリンでのライヴ録音)に2006年、ローマでライヴ収録されたロンクィヒ(ピアノ)、グリンゴルツ(ヴァイオリン)、ブルネッロ(チェロ)、アバド指揮ベネズエラ・シモン・ボリバル・ユース・オーケストラによるベートーヴェンの「ヴァイオリン、チェロとピアノのための三重協奏曲」をカップリングした新録音を合わせた再編集版。こういう再編集版はなかなか買う方にしてみると悩ましいもので、商業戦略的な意図を感じてしまうのだが、のせられて買ってみました。
ポリーニによる全集については再度言及の必要はないかもしれないが、改めて聴いてみての印象であるが、やはりその瑞々しいピアノは見事である。ポリーニのピアノは元来理知的で、直線的な音色によるクールな響きに特徴があったが、その一方で冷たさや即物性もあった。しかしこの頃の録音になると、情感、と言っていいのだろうか、適度な柔らか味を合わせて獲得している。この特性は協奏曲を始めとする他の器楽と競演をするジャンルにおいて、ことのほか重視されるものだと思う。現にポリーニは室内楽への参画が極端に少ないピアニストであるが、今であれば、室内楽にも素晴らしい名演を聴かせることは間違いないと思う(なのでこちらの方面の開拓も、フアンとしては望まれるわけです)。
協奏曲の中では古典的でありながら、即興的な色合いを持っている第2番などで、この暖かみのある音色は音楽の幅を心地よく広げてくれる。第2楽章の高雅さなどなかなか得がたい魅力に満ちている。第4番も良い。音色がつねに高級な色合いを持っていて、オーケストラと溶け合っている。楽想の移り変わりが自然で、ニュアンスが濃い。「皇帝」もぱっと聴いた感じ「豪壮」であるけれどもその、その「豪壮さ」の内訳が高度に裏打ちされた論理的な構成感によっている。それでいて冷徹一辺倒にならないところが巨匠の芸といえる。
さて、新たに加えられた「三重協奏曲」であるが(オーケストラまで違うので、共通の演奏者はアバドだけどいうことになるのですが・・・)、まずアバドがこの若手中心のオーケストラから見事に滋味豊かなサウンドを引き出していることに驚かされる。このオーケストラはドゥダメルとの録音では指揮者ともども溌剌とした生命力が見事だったのだが、ここでは時として老成感のようなものさえ醸し出すようなユーロピアン・サウンドだ。もちろん、合奏による若々しい推進力も健在で、いい演奏だ。独奏陣も息が合っている。第2楽章のブルネッロのチェロによる息の長いフレーズは夢心地の美しさだし、ピアノ、ヴァイオリンとも内省部を鑑みた表情の交錯が見事。これまた名演で、ポリーニの録音とカップリングしても、勝るとも劣らない内容と思います。
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