
冒険ファンタジー『はてしない物語』の著者であるミヒャエル・エンデが贈る、時間どろぼうと風変わりな女の子の物語である。文章のみならず、モノクロの挿絵までもエンデ自身が手がけた本書は、1974年にドイツ児童文学賞を受賞。小学5、6年生以上から大人まで幅広い年代の人たちが楽しめる、空想力に富んだ小説だ。
円形劇場の廃墟に住みついた、もじゃもじゃ頭で粗末な身なりをした不思議な少女モモ。黙って話を聞くだけで、人の心を溶かし悩みを解消させる能力を持った彼女のまわりには、いつもたくさんの大人や子どもたちが集まっていた。しかし「時間」を人間に倹約させることにより、世界中の余分な「時間」を独占しようとする「灰色の男たち」の出現により、町じゅうの人々はとりとめのないお喋りや、ゆとりのある生活を次第に失っていく。
本書は、時間どろぼうである「灰色の男たち」とモモの対決というスリルあふれる展開を通して、1分1秒と時間に追われる現代社会へ、警鐘を鳴らしている。たとえば、モモの友だちだったニノが「スピード料理」の店を始め、大繁盛しているせいで他人とわずかな世間話をする暇もないというように、時間を盗まれた人たちは、現代の私たちの姿そのものとして描かれている。昨今、モモのように際限のない時間の中で、空想をめぐらせ楽しむ生活はほとんど忘れられている。子どもばかりでなく、忙しい大人たちにも夢見ることの大切さを教えてくれる本だ。(砂塚洋美)
今の時代にも驚くほど当てはまります
もう30年以上前に書かれたお話なのに、今読んでも驚くほど違和感なく、そしてすごく大切な示唆を不思議な形で与えてくれる本です。毎日予定表を分刻みでびっしり埋めている方々にぜひ手にとっていただきたい本です。
プレゼントに。
本が大好きな小4の姪にXmasプレゼントに。と購入しました。
大好評で、『一気に読みたくなるけどもったいないから毎日ちょっとずつ読んでるの。でもおもしろすぎてうっかり読みすぎちゃう…。ほんとうにありがとう!!』と。
かわいい姪っ子に喜んでもらえてよかったです。
歩みの遅い亀が勝つ。
小学校高学年の頃に読んだだろうか。モモ。それから何十年も経ったある日、突然「モモを読まなくては!」と思い立ち、地元の図書館で借りて読むことになった。
!カシオペイアもベッポもジジも全く覚えてないなんて!しかし、記憶が薄くなってしまったからこそ、まるで初めて読む本の如く、楽しめた。
働くようになった今だからこそ、道路掃除夫ベッポのこの言葉が身に染みる…「つぎの一歩のことだけ、つぎのひと呼吸のことだけ、つぎのひとはきのことだけを考えるんだ。するとたのしくなってくる。これがだいじなんだな、たのしければ、仕事がうまくはかどる。こういうふうにやらにゃあだめなんだ。ひょっと気がついたときには一歩一歩すすんできた道路が全部終わっとる。どうやってやりとげたかは、じぶんでもわからん。これがだいじなんだ。」
傑作
最高です。
小学生の頃に一度読みましたが、大人になってから読むと、また一味違います。
ぜひ、手元に置いておきたいです。
「作者のみじかいあとがき」で気づいた衝撃
小学生のとき、この「モモ」と出会いました。時間どろぼう、灰色の男たちの不気味さが心の奥にひっかかって残りましたが、それより何よりも素敵な登場人物たち、とくに道路掃除夫ベッポやカメのカシオペイアがなんだか大好きでした。
それから20年以上の時間が過ぎ、ふと「モモ」を思い出しました。「時間どろぼうとかっていってた話だと思うけど、どんな話だったっけ…」昔読んだ大きなハードカバーを思い出しつつ、岩波少年文庫を買ってきました。読み始めてすぐにモモの得意なことである、「あいての話を聞くこと」のことを思い出し、灰色の男たちの葉巻と帽子を思い出し…
けれども、大人になって読む「モモ」はひと味違いました。子供のころ、灰色の男たちのことを「?」と思っていましたが、今は読み始めた瞬間に「!」と思ったのでした。そして、満員電車や終電に乗りながら読むような本ではないと思いつつ、灰色の男たちの存在を痛いほど感じながら読み終えたのでした。
最後に、「作者のみじかいあとがき」がありました。
汽車でのりあわせたきみょうな乗客の話、これを読んだとき、20数年経って、初めて本当に「モモ」を読み終えた、この本に出会えてよかった!とものすごい衝撃を受けました。なんだか自分の「いま」を何年も前から知られていたような気がしました。そして、それを何年も前に自分も読んでいたわけです!
”「わたしはいまの話を、」とそのひとは言いました。「過去におこったことのように話しましたね。でもそれを将来おこることとしてお話ししてもよかったんですよ。わたしにとっては、どちらでもそう大きなちがいはありません。」”
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